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気になるプロダクツvol.6【からみふっくら織りの和紙タオル】

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

伝統の織りの技法で
和紙がタオルになった!?

「和紙タオル」その聞きなれない単語に、耳を疑う。
和紙と聞いて、私の脳裏には、金魚すくいのポイが金魚をすくい損ね、しなっと破けるイメージが浮かんだ。
「使い捨て?」「洗っている途中に破けるのでは?」そんな疑問が次々と浮かんで気になって仕方がなくなってしまった。

和紙タオルをつくっているのは、静岡濾布有限会社(以下:静岡濾布)。
主力の商品は、やはり和紙タオルで「和紙のタオル屋さん」という屋号で販売を行なっている。
また、面白いところでは、例えば、お餅の蒸し布やお豆腐のこし布などのちょっと変わった産業資材も扱っている。
静岡濾布有限会社の中村さんにお話を伺った。

以前は、産業資材の他に、洋服の生地も生産していた当社。「からみ織り」という織り方でつくられた生地は、通気性の良さが受け大人気だったそうだ。取引先の問屋さんがご高齢でリタイアされたのを機に服飾業からは撤退した。

その後、自社の主力商品として、からみ織りの技術を活かすものとして浴用タオルの開発を始めそうだ。
先の経緯もあり、「問屋を通すのではなく、和紙のタオルは自分たちの手で大切に売っていこう」と自社での製造販売を始めた。

遠州からみ織りとは

「からみ織り」とは一体、何なのか。
遠州地方で生産される「遠州からみ織り」ルーツの一つは、なんと「漁業の網」なのだそうだ。
「からみ織り」は、別名、「捩り(もじり)織り」ともいい、その語源は諸説あるが、富士川の捩り篭漁からきているとも言われているそうだ。

からみ織り自体のルーツは古く、日本では正倉院にもからみ織りの一種である「羅(ら)」が保存されている。
「羅」は中国からもたらされ、日本でもその通気性の良さから、着物の夏用の帯などに使われ親しまれている。

平織りが縦糸横糸を一本ずつで織るのに対し、「からみ織り」は、横糸一本に対して縦糸二本。縦糸を交差させ、横糸を括り(くくり)ながら織っていくのが特徴だ。

縦糸二本で横糸を縛るように織っていくので、網のように網目の荒い生地でも網目がずれない。
普通の平織りで網目の荒い生地を織ろうとしても、網目がずれてしまうので均一な隙間が維持できない。
メッシュのような通気性の良い生地をつくるのに、からみ織りは適しているのだ。

和紙を織るという難しさ

中村さん
実は和紙タオルを開発する以前にも、テンセルという糸で似たようなタオルをつくっていたんです。

「テンセル」というのは、吸湿性・速乾性のある糸で、木材パルプからつくられる。柔らかな肌触りも特徴だ。テンセルのタオルはすぐに販路を開拓。販売を始めた。
やがて、この開発にとどまらず、テンセルのタオルを卸していた取引先の要望に答え、さらに良いものをと新たに改良に挑んだ。

中村さん
色々と試す中で和紙にたどり着いたんです。和紙は水に強いし、あぶらとり紙にも使われているので、タオルの材料として使えるのではないかなと考えました。

当然、和紙を扱った経験はなく、成功する保証はなかったが、「まず、やってみよう」というので試作を重ね、一ヶ月後ついに和紙を織ることに成功した。

原材料の和紙。

単体でも水に強い和紙だが、織物にすることによって、強度を増している。
原材料の和紙を見せてもらった。
いくら和紙が水に強いといっても多少のコーティングは必要だろうと勝手に思い込んでいたのだが、あまりにも普通の和紙で驚いた。

この帯状の和紙を糸状に加工する。 テンセルと和紙を撚(よ)って糸にするのだが、この糸も自社製造だ。

糸よりさらに繊細な和紙だが、糸のように撚りをかけるとかなり強くなるという。
しかし、織りやすいように撚りをかけすぎてしまうと肌触りが悪くなってしまうそうだ。

中村さん
針金のようにすごく硬くなってしまうんですよ。身体を洗うと針金でゴシゴシとやっているような感じでとても痛い。
和紙の優しい肌触りを維持しつつ織る、というのが難しいんです。

からみ織りの応用「からみふっくら織り」

肌触りを維持するため撚りをあまくしている和紙を、強度の部分でどうカバーするかがポイント。
タオルで身体を洗うときに、力のかかる方向は圧倒的に縦方向。和紙入りの糸は横糸にすることにした。

横糸と言っても多少の強度がなくては破れてしまうということで、幾らかの工夫が必要になってくる。

実は、初期のタオルと現在のタオルとでは製法が異なる、とのこと。
和紙に力がかからないよう力を分散させる方法が違うそうで、初期のタオルは、和紙入りの糸に工夫をした。

中村さん
お湯につけると縮む糸というのがあって、初期のタオルは、和紙とその糸を一緒に織ることで和紙に力がかからないようにしていました。
ですが、その糸が生産中止になってしまって…

そこで、編み出されたのが「ふっくら織り」だ。

「ふっくら織り」は縦糸二本の向きを反転することで、通常のからみ織りよりも緩やかな曲線で横糸を持ち上げるように織っている。
余分をもたせることで力を分散させ、伸縮性もアップ。横方向の力にも耐えうる強度をもたせた。

中村さん
うちの社長は体が不自由なんです。でも、普通の人ならデメリットに感じることも利点に考えるような人。不自由なことがあるからこそ、工夫して出来るようにする。その工夫こそが、武器なんだと。だから、変わったものを思いつくんです。アイディアの実現には、かなり苦労しましたけどね (笑)

「当時はもう、本当に大変でしたよ!」と語るその表情は笑顔で、仕事への誇りを感じた。お話を伺う私も勇気をいただいた。

すっきりとした使用感

和紙タオルは、肌にやさしいというのが特徴だ。
糸以上に柔らかいので、肌にあてたときに和紙の方が負けてくれ、肌を傷めない。
それでいて、あぶらとり紙のように皮脂汚れはしっかりキャッチしてくれるので、すっきりとした洗い心地が癖になるそうだ。
石鹸なしでも十分に綺麗になるとのことで、石鹸で肌が荒れてしまう方には特にオススメだ。

中村さん
一番の魅力は、やっぱり使った後の気持ち良さでしょうか。

気持ち良さに惹かれてリピーターになる人は多い。和紙タオルを使っていて古くなり、買い替えの合間に他のタオルを使うと「やっぱり和紙タオルがいいと実感する」との声もよく聞くそうだ。

地元のリピーターだけでなく、お土産としても人気だ。
和紙を使用しているという珍しさも、商品を手に取ってもらえる一因で、「え〜!これ本当に和紙なの?」と驚かれる。

中村さん
商品の珍しさから、つい試したくなるのが人情。プレゼントしたら、高確率で使ってもらえるお土産です。使ってもらったら、良さも感じてもらえるんじゃないかと思います。

お土産にもらい、愛用するようになった方から注文をいただくようになり、オンラインショップ(和紙のタオル屋さん: https://washi-towel.com/ )を開設した。

webサイトでは、「うるわし」のブランド名で販売している。

オンラインショップのオリジナルパッケージ

中村さん
オンラインショップでは、虹色7色のレインボーセットや13色をまとめ買いできる卸値セットがよくでます。
毎日使うものだから、みなさんまとめ買いされるのかもしれませんね。

オススメの使い方は、朝の洗顔。
夜は洗顔フォームで1日の汚れを落とし、その後化粧水などでケアをする。翌日の朝、石鹸で顔を洗ってしまうとせっかく夜に蓄えた養分を丸ごと洗い流してしまうそうだ。
和紙タオルであれば、石鹸をつけなくても肌の表面の汚れは綺麗に落ちるので、肌のお手入れを無駄にしなくて済みそうだ。

中村さん
使い心地の期限は、およそ半年ほど。物としての期限は、使い方によって前後しますが、2〜3年は破れません。

古くなったタオルはガラスを拭くのに使うのがおすすめなのだそうで、普通の綿のタオルは吹いたときにガラスに繊維がくっ付いてしまうが和紙タオルはそれがほとんどない。さらに、網目になってるので、汚れを掻き取ってくれる。

お手入れは、洗濯機だと崩れが早くなってしまうため、手洗いがいいそうだ。

実際に手で触ってみて気になったのが、乾いた状態だと肌触りが少し固めに感じるというところ。
水につけたらまた感触も違うのかなと、実際に水に濡らしてみたところ、「こんなにも和紙の存在感って消えるんだ!」と驚いた。とても柔らかく、感じるのは網目のぽこぽことした凸凹だけだった。
なるほど、これは一度使ったらくせになりそうだ。

工場を見学

中村さん
うちの工場は結構古い織機がたくさんありますよ。織機を製造する会社の社員さんも驚いて、「織り機の博物館」とおっしゃってましたから。

和紙とテンセルを撚る機械。

こちらが今も稼働中のシャトル織機。

細幅の織物で、裁ちは最小限。洋物のタオルなどとは違い、縫い目が少なく手触りがいい。

産業資材もここで生産している。この糸は、ポリプロピレンが原材料の糸。軽くて汚れにくいという特徴があるそうだ。

中村さん「これはね、脱水機です。古いでしょ(笑) しつこく使ってます。」

歴史を刻んできた道具たちは、今も大切にされ、現役で活躍していた。

商品を購入したい方は

オンラインショップ(和紙のタオル屋さん https://washi-towel.com/)より購入いただけます。また、工場の直営所でも販売しています。(和紙のタオル屋さん工場直売:浜松市西区村櫛町3294 TEL:053-489-2331)

また、工房にてワークショップを行なっており、和紙タオルの染め体験ができます。

工房入り口

ワークショップの費用は一人500円。自分で染めた和紙のミニタオルがもらえますよ。電話での予約が必要で、一人からでもOK。気になる方はぜひ、お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

工房に入ったところにある浜松の名工に選ばれた職人さんが作った自作の織機

その他にも、浜松駅前の遠鉄百貨店の7階や舘山寺の主要ホテルでも購入できます。


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