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気になるプロダクツvol.4【メタルジュエリー「Bluing」】

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

気になるプロダクツvol.3【メタルジュエリー「Bluing」】
気になるプロダクツvol.3【メタルジュエリー「Bluing」】

現代の錬金術?
工業の技術 が詰まった宝石みたいな金属

メタルジュエリー「Bluing」

美しく輝くこちらの宝石。
なんと天然石ではなく、“ 金属 ” でできている。
こちらのメタルジュエリー「Bluing」を作っているのは、湖西市の応用技術研究所、森町の鈴精機、掛川市の中遠熱処理技研の三社。
設計、切削、色付けとそれぞれの得意分野を生かして新たなものづくりが生まれている。

設計 × 応用技術研究所

株式会社応用技術研究所は、製品設計や強度計算の知識と、技術士(機械)の資格を活かしたコンサルティングなどを行っている。
強度計算や構造解析は折損などの原因解析に役立つ。例えば、建物などが地震などで簡単に崩れないのは、揺れなどの負荷を計算し対策を施しているからである。応用技術研究所では構造を解析し、構造の弱点をわかりやすく資料化し、対策案を出すこともできる。
製品設計はデザイン提案から製品設計までを行う。過去の事例では、船舶付帯設備の設計などを行っている。また、図面が消失してしまった部品に対して、その設計図を再設計しデジタルデータに起こすこともできる。
その他にも、技術的な問題で困っている方があったら解決するというコンサルティングやセミナー講師としても活動している。

そんな多方面で活躍されている代表の日名地(ひなぢ)さんだが、新たなものづくりに挑戦している。
これから生き残るための製造業のかたちを創り出そうと奮闘している。
かつては、浜松だけで完結していたものづくりが少しずつ変化している。製造過程の仕掛から完結までの間で、依頼できる企業が廃業していたりするのだ。
「製造業の中で見えないシャッター街が静かに広がっている。」そう感じることが多くなったという。これは浜松だけの問題ではなく、高齢化や安い海外製の製品に押されての失注などによる廃業は日本全体でも問題になっている。

一社で完結するものづくりではなく、製造工程毎に独自技術をもった会社が関わり繋がりを生むようなそんなものづくりを目指してなにかつくれないか、そんな考えからメタルジュエリーは生まれた。

ただ、展示会での名刺交換などで関係を横に繋げるだけでは面白くない。
江戸時代のものづくりのように、技術力の高いノウハウを持つ会社同士が技術を持ち寄り、完全に分業で何かをつくってみたらどうかと考えた。

メタルジュエリー「Bluing」

メタルジュエリーの販売を担う「刃金からくり屋」の屋号マークもシャレが効いている。   江戸時代のものづくりにこだわるならと、日名地さんが考案したものだ。   カタカナの『ハ』の下『┓(カネ)』を表わすマーク。『┓』マークの中が空っぽで『カラ』。その下に栗(クリ)で、『ハガネカラクリ』と読ませている。

日本の技術のレベルは非常に高い。高すぎるゆえの弊害もあると日名地さんは言う。

ユーザーである一般の人たちが求めるのは比較的安価なもので、5〜10年使えるようなもの。
日本はその技術力の高さゆえに20年以上使い続けられる高い品質の製品をつくってしまう。
20年も使い続けられるということは、製品としての完成度は高いが、買い替えなどのスパンが長く企業としては儲からない。
であれば、今の日本の製造業の技術の高さを活かし、製品を『工芸化する』ことで芸術性を高め、新たな価値を付与できないかと考えた。

メタルジュエリーは金属を天然の宝石のようにしてしまったというのがポイント。
最後に熱処理で色を出しているが、つくる度に色が変わる。大気中の酸素と金属が反応し色が出るのだが、同じものはつくれない。

工業製品は同じものを大量につくることが正とされている世界。
メタルジュエリーも同じ工業製品なのだが、天然の宝石のように同じ色が一つとしてないのだ。

「大量に同じものをつくること、それも技術。ただ、その技術を突き詰めて掛け合わせたら天然のものに近い工業製品ができた。そこに面白さがある。」

映画「グラン・ブルー」をイメージしたというその青は、「遠州碧(Enshu-Blue)」という名がついている。

「遠州は海のイメージが強い。遠州灘や浜名湖がある。また静岡県はお茶どころでもあり、茶畑の青々とした景色など、地域のシンボルカラーを考えると青だと思った」と日名地さん。

「日本が得意とする機械加工の宝石は原産国ジャパンの宝石として世界に発信してアピールできるもの」

業界の常識を覆すような発想で、新しい概念を生み出すチャレンジに浜松のものづくりに明るい兆しを見た。

株式会社応用技術研究所

〒431-0431
静岡県湖西市鷲津3387番地 アルカミーノ 1B2
TEL : 053-401-3313 / FAX : 053-401-3314

https://www.digitalcreation-s.com/

切削 × 鈴精機

メタルジュエリー「Bluing」

メタルジュエリー制作では、素材のステンレスを宝石の形に削り出す工程を担当している。

 

切削加工の美しさを応用技術研究所の日名地さんに見込まれ、メタルジュエリーづくりのオファーを受けた。

 

全国の中小企業が作成したコマを持ち寄りケンカゴマを行う「全日本製造業コマ大戦」という大会で、応用技術研究所の日名地さんから使用するコマづくりの依頼を受けたのが応用技術研究所さんとの初めての仕事だという鈴精機の代表取締役の鈴木さん。

メタルジュエリー「Bluing」
メタルジュエリー「Bluing」

鈴精機はその精緻な加工が強みだ。切削加工の他、治工具の設計と作成、そして、ゴムの成型に使う金型を取り扱っている。

鈴精機の技術の高さ、作業の緻密さを物語るのがこちらの招き猫。

こちらは「磨きレス」という加工。ツヤっとした表面だが、磨きはかかっていない。切削機械で削り出しただけの状態なのだが、磨きが必要ないほど綺麗に仕上がっている。

また、銀色の招き猫の方の素材は鉄で炭素鋼(S50C)と呼ばれるもの。通常は、このような光沢は出ない素材だが、鈴精機の加工にかかればこの通り。展示会で素材名を伝えると驚く客も多い。

「磨きレスは弊社の標準品質。特殊な加工メニューというわけではなく、これが弊社のスタンダードなんです。」

ゴム金型もあつかう鈴精機だが、「金型の表面が綺麗すぎるあまりゴムの成型がうまくできなかった」という技術力の高さが伺える失敗もあったほどだ。
「艶を出すような刃物を使っているのでは?」という疑問もあるかと思うが、刃物自体は普通のものなのだそうだ。

切削に使うマシニングセンタというコンピュータ制御の機械で加工するのだが、機械任せにしておけばいいというような簡単なものではない。

機械のスペックもそうだが、その機械に与えるプログラムやそれを扱う人などにより出来栄えは変化する。

この微細な加工を可能にしている技術のひとつはマシニングセンタの主軸の振れの少なさと機械や環境に合わせたプログラムだ。振れといっても、ミクロンの世界の話。想像のつかないほど微小な世界だが、その数ミクロンが仕上がりに大きな影響を及ぼす。

「中仕上げ加工時に、いかに均一に取り代(とりしろ)を残して、仕上げ加工時に、いかに均一に取り代を取るか。」

取り代もコンマ何ミリだというから驚きを隠せない。より高スペックな機械を導入すればよいか、という話でもないらしい。

新しい工作機械を導入した際、今まで使っていたプログラムで加工したことがあったそう。出来上がりを見て仰天。通常なら滑らかに仕上がるはずの加工面がざらざらになっていたのだ。

「今の状態より数ミクロン主軸がずれていたら、同じものはつくれない。弊社の機械とプログラムを他の会社に持っていっても、同じようにつくれるかはわからない。加工する際に使う油などの相性だったり、考慮しなくてはいけない条件はたくさんある。」

ノウハウというのは設備投資だけで簡単に築けるものではないのだ。

「わかるひとにはわかってもらえる」というこちらの部品。
随所にノウハウが詰まっているという。

NC旋盤と汎用フライスを用いて作られたこれらの部品。部品に開けられた穴は全て垂直ではなく角度のついた斜めに曲がった長穴だ。

メタルジュエリー「Bluing」

工場内にはアナログとデジタルの機械が並ぶ

五軸加工機を使わずに作ったというこの部品は、まさにアナログとデジタルの融合だ。
両方とも使いこなすだけのノウハウと技術の蓄積があるということが、部外者でも十分見て取れた。

有限会社鈴精機

〒437-0222
静岡県周智郡森町飯田2141-3
TEL : 0538-48-8916 / FAX : 0538-48-8451

http://www.nc-senban.com

着色 × 中遠熱処理技研

メタルジュエリーのあの美しいブルーは塗装やメッキによるものではない。熱処理によって薄い皮膜ができることにより、あの色が生み出されている。

 

中遠熱処理技研の代表取締役社長の高田さんにお話を聞いた。

熱処理とは、金属に加熱冷却、化学反応させることで硬さを付与する工程だ。
主に、自動車やオートバイ、船外機などの部品に熱処理を加えることが多い。

「綺麗な色を出すのは塗装やメッキを生業としている方たちの仕事。我々のやっている熱処理というのは色をどれだけ変えずにやるかというところ」

「これ本当に熱処理したんですか」と言われるくらい変色のない方が価値がある熱処理の世界。
通常では、表面の酸化皮膜はない方がよしとされている。

酸化皮膜が厚くなってしまうと金属本来が持つ性質や特性が変化してしまうので「変色なき様に」というのが大前提だ。

しかし、メタルジュエリーでは皮膜による着色がなされている。
変色に注目するきっかけは何だったのだろうか。
「実は失敗から来ています。前処理に問題があり、誤って着色したものが出来上がってしまったんです」

金属を熱した時に変色する色のことをテンパーカラーという。このテンパーカラーは加熱の前処理によって変えることができるそうだ。

「前処理を通常の処理と、少し処理を変えることによって色をコントロールしている。きっかけは失敗だったが、今度はこれを意図的にやってみようと考えた。これはこれでありなのではないか。もしかしたら、こういう着色を望んでいる人も何処かにいるのかもしれないと思った。」

メタルジュエリーの他にも、キャンプ用品の五徳(ごとく)を展示会用に着色してほしいという依頼もあったそうだ。塗装などの有機物だと火にかけた時に焼けてしまったり色が剥げてしまって困っていたそうで、思わぬところで需要があった。

熱処理による着色は、金属が本来持っているものが反応し出来た色なので自然な色合いになる。
メタルジュエリーは、金属の表面のわずかな違いが色の違いを生み出している。
磨きたての金属は、熱処理的に見て不安定な状態なのだそうだ。大気中に少し置いておくと落ち着いてくるのだそうだが、磨きたては微妙に反応が異なる。その不安定さは独特の色合いを生み出している。

「常日頃は、硬さや外観などが均一な品質を目指して心がけている。メタルジュエリーは普段とは全く真逆なことをしている。」

熱を加えると金属は溶けてしまうと私のような素人は思うのだが、熱を加えると硬くなるというのはどうしてなのか。通常の熱処理について聞いた。

熱を加えるといってもそんなに高温では熱しないのだそうだ。金属が溶けだすより低い温度で熱する。

もともと、工業に使われる金属というのは性能を向上させた合金である場合が多い。合金には、いろんな合金成分が入っている。その合金金属に熱を加えることで、形を変えることなく中の原子を動かし上手く溶け込ませて、原子の配置バランスを均一にしているのだそうだ。

均一になったところで、冷却を加えることにより、均一に原子が存在している状態で固定するそうだ。

焼き戻しという工程があるのだが、低温で焼くことにより金属にかかったストレスを抜くことができるという。“金属にストレス”というと不思議だが、鍛造などで、急激に熱されて曲げられたり打たれたりすると、その部分にストレスが残るのだ。そのストレスが高いとすり減りやすくなったり、割れやすくなったりしてしまう。

熱処理を扱う会社は少ないように思っていたが、実は全国的に見ると多いということが今回の取材でわかった。
その中で中遠熱処理技研の強みは営業品目の多さと航空宇宙の部品熱処理なんだそうだ。

静岡県で航空宇宙品質の熱処理が可能な施設は数少ない。
航空宇宙品質とあえて書いたが、温度の測定や記録紙のスケールなど求められるルールは厳しい。
細かく定められたルールに一つ一つに対応していくことで航空宇宙品質の熱処理が可能になった。

また、まだ需要は少ないが先進的な設備にも投資をしているそうだ。
鋳造技術の発達で、昔は鉄板をプレスして作られていた車体がアルミの鋳造でできるようになった。

中遠熱処理技研はアルミ熱処理の設備を14機(2018年12月時点)持っており、静岡県下だと一番多い。

アルミの鋳造技術はまだまだ進歩していて、従来の基準よりも、ものすごく厚みの薄いものも作れるようになってきているそうだ。

通常なら、アルミを高温で熱した後にお湯の張った焼き入れ水槽に浸して冷ますのだが、薄いアルミはお湯に着水させるとすごく歪むのだそうだ。
熱をかけているため、強度が落ちており、水面の抵抗に耐えきれない。
そのため、歪みの少ない風の力で冷却する風冷溶体化処理の設備を一昨年新しく導入したそうだ。
試作品のテストや少量のロットでも対応出来るこだわりの設備だ。

素材の進化に対して同じように熱処理の技術も日々の研究や努力によってたゆまぬ進歩を続けていた。

株式会社中遠熱処理技研

〒436-0083
静岡県掛川市薗ヶ丘840-1
TEL : 0537-24-5566 / FAX : 0537-24-5567

http://www.chuen-ht.jp/

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