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浜松はゆかたの産地!年代問わず楽しむ夏のおしゃれ

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

浜松はゆかたの産地というのをご存知ですか?
遠州織物が有名な浜松は、生地から染めまで全てを一貫してつくることができます。
ゆかたに関しては特に「浜松注染」が代表的で、なんと大正時代からつくられているんだそうです。
今回、お話を伺ったのは浜松市南区にある白井商事株式会社さん(以下、白井商事さん)。白井商事さんはゆかた生地をメインに、企画・製造・卸販売を行なっています。

当社で専務取締役を務める白井さんにゆかたについてお話を伺いました。

白井商事株式会社
専務取締役

白井 成治seiji shirai

浜松はゆかたの産地!年代問わず楽しむ夏のおしゃれ
 

ゆかたとは?

今や、夏の風物詩としても代表的な「ゆかた」。ゆかたは、平安時代の貴族がお風呂上がりに着ていた「湯帷子(ゆかたびら)」が原型とされています。確かに今まで意識することもなかったのですが、漢字で書くと「浴衣=よくい」とも読めますもんね!
着物よりカジュアルに和装を楽しめて、全身を使った色鮮やかなデザインが楽しめる浴衣は、現代でも人気です。

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ゆかたの生地がたくさん!

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老若男女にむけたデザイン

 

プリント生地のゆかた

私も学生時代は夏祭りにゆかたを着てお出かけしていました。
「友達みんなでゆかた着てくことになったんだもん」と、親にねだって新しいゆかたを買ってもらったものです。学生時代の私に馴染み深かったのが量販店で販売されているゆかた。比較的安価で手に取りやすいこれらのゆかたはプリント生地で作られています。
プリント生地はシルクスクリーンのように色ごとに型を変え、10色〜12色で染めます。
今や、ポピュラーなプリント生地。白井商事さんで取り扱うゆかたの大半を占めているそうです。

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通常、着物やゆかたなどをつくる際に使用する生地は小幅と呼ばれるものです。
プリント生地は、洋服用の生地である広幅のサイズの生地に柄をプリントしていきます。
幅の広い広幅の生地に小幅サイズの柄を並べて染めることによって、生地幅により3柄〜4柄のデザインを染めることができるんですよ。

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国内でプリントした生地を、海外の縫製工場に送ります。ゆかたの形に裁断された生地は縫製工場で縫製された後、日本に送られます。
プリント生地のゆかたは量販店やオンラインショップでの販売が多いです。

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プリント生地のゆかたは、色合いが鮮やかなのが特徴。さらに、1色1型で10色〜12色と色を使うので、多色でより細かな柄が特徴です。

 

浜松注染生地のゆかた

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プリント技術がなかったその昔は、ほとんどが注染そめですべて職人さんによって作られていました。
注染そめの技術は日本各地で伝統があります。主な産地は「東京」「大阪」「浜松」。

東京は「東京本染」。藍をふんだんに使った一色で染めたような粋なデザインが代表的です。
大阪は注染の発祥の地。大阪といえば手ぬぐいなのだそうで、色をふんだんに使ったカラフルで鮮やかな色合いが代表的。

浜松では「浜松注染」が伝統工芸として根付いています。関東大震災をきっかけに染め職人が東京から浜松に流れてきたのが、浜松の地で注染が普及したきっかけになったとされています。
浜松注染は、浜松が東京と大阪の中間に位置するため、どちらの文化の影響も受けているのだとか。

白井商事さんの取り扱う注染は、全て浜松で織られ浜松で染められたものです。

 

注染ってどうやって染めるの?

注染の仕組みは以下の通りです。

1. 木枠にセットされた型紙を布に当てる。

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2. その上から、防染の役割を果たす糊をヘラで塗る。

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3. 綺麗に布を折り返して重ねる

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4. 2と3を繰り返す。

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5. 糊で土手をつくる

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6. 染料染め用のやかんで染料を注ぐ

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この時、コンプレッサーで下から染料を一気に吸うことで満遍なく染料を行き渡らせます。

7. 水で洗う

8. 天日干し

もともとは型の方を動かしていた

元々は「長板染め」という手法で染められていたそう。

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長い板に布を貼り付け、型を移動させることで染める技法。
長板染めの職人さんが「もっと早くできないか」と考案したのが「注染」なのだそうです。

長い布を折り返すことによって作業効率をあげた「注染」の技法。
しかし、折り返して染めるため、柄の反転には気を遣うそうです。
どっちが上になってもいいように、上下から見て違和感のない図柄にしたり、花などのモチーフも満遍なく向きを変えたりするそうですよ。文字などがデザインされたものも上下両方の向きを取り入れたデザインにするなどの工夫が必要になるそうです。
長板染めの場合は布を折り返さないのでその点、反転は気にしなくて良いのですが、浴衣などの和装の場合には前身頃と後ろ身頃が一枚の布であるためやはり文字入りのデザインはどちらでも読めるようにデザインするそうです。

 

注染の型

注染の「型」はどんな風になっているのでしょう。
型を作る前にどんな柄がいいかを決め、そのモチーフを元に図案を画家さんにオーダーします。

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画家さんの描いた図案

こちらが画家さんの描いた図案なのですが、細かい!図案の時点では、モノクロなんだろうと思っていましたが、しっかりカラー。下に残る鉛筆の下書きの跡に「手書きで描いてるんだ!」と感動しました。

画家さんの図案を元に型紙職人が型紙を作成します。

型紙は全て、伊勢の職人さんにお願いしているそうです。
ちなみに、浜松で型紙を作ることができるのはもうたった数人しかいないのだそう(2019年1月時点)。

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使い込んだ型

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こ、細かい…!

型紙は和紙でできており、絹の紗(網のような目の荒い織物)に貼り付けて使います。
最近では、絹の紗の代わりに丈夫なナイロン製のものも開発されているそうです。

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上のオレンジ色の型紙の紗はナイロン製

絹製のものとナイロン製のものを見比べましたが、素人目には違いがわからず。

白井さん
この絹製のものとナイロン製のもの、僕たちの目でみても違いはわからないけど、
職人さんに言わせると違いがあるそうですよ。
糊を引いた時の糊の際(きわ)、へらの滑り具合やキレなんかが違うって仰ってますね。

やはり職人さんは違いを感じるのか…!手の微妙な感覚でもって、つくられているのですね。

 

注染の魅力

柔らかな雰囲気が魅力

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注染はプリントに比べ、柄のキワが少しにじんだような染まり方で、柔らかい雰囲気がでます。また、染料を混ぜて色を作っているので落ち着いた色合いが特徴です。また、グラデーションが大きな魅力です。プリントではドットの重なりでしかグラデーションは出せませんが、注染は染料が混じり合い染まっていくので自然で滑らかなグラデーションが美しくでます。

10代20代をメインターゲットにしたプリント生地のゆかたはデザインが若々しいものが多く、30代以降の女性の「浴衣を着たくても、大人になって似合うデザインのゆかたがなかった」との声を聞くことが多かったそう。
注染のゆかたは上品質で落ち着きがあり、そんな女性たちからも支持を得ています。

肌触りが魅力

ゆかたって意外と暑いなっていうイメージというか、学生の頃の遠い記憶がありますね…
白井さん
プリントもののゆかたはそう感じてしまうかもしれませんが、注染は着心地もよくて涼しいものですよ。

プリント生地は広幅の生地のため120mもの生地を引っ張って印刷するのだそうです。
引っ張って熱を加えるため、織ったばかりの時にはあった糸と糸の隙間が伸ばされてぺちゃんこになってしまうので、風通しが悪くなってしまうのです。

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しじら織り

白井さん
注染は染める前の生地を無理に引っ張らず下処理し、染めも引っ張らないし乾燥も天日干しです。
自然の風合いを守っているので通気性が違うんです。

ゆかたの生地も進化を遂げています。
「しじら織り」という太糸と細糸を合わせて織ったものでぽこぽことした凹凸が特徴です。このしじら織でできたゆかたはサラリとした着心地なのだそうです。どういうことかというと、凸凹した生地は肌に当たる部分が少なくなり肌にまとわりつかないので、ベタつかない着心地を実現してくれます。さらに、麻を入れることでサラサラとした肌触りが増します。
昔は湯上りの浴衣(よくい)や寝巻きとして着用されていたので汗を吸うという効果が大事でしたが、今は汗を吸うより夏でもまとわりつかずに着ることのできる着心地と通気性が重視されているとのことでした。

 

同じ型でもバリエーションは無限

「同じ型でも染め方が違えば全く違うものになる」
違う色で染めるということかなと思っていましたが、「染め方」はもっとバリエーションがあります。

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例えば、青い生地があるとします。
その青い生地をどう作るか。青く染まった糸で生地を織るのか、織った生地を青く染めるのか。
これだけでも「青い生地をつくる」という目的に適った全く違う工程の異なる織物が二枚できました。

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色だけでも雰囲気がガラリと変わる

柄の出し方も複数あります。
まずは、単純に糊がのっていない部分を染色する差しわけ。柄の部分に糊をかけ、地の部分の染める地染め。地染めは素の生地が見えるので、生地での表現も可能です。先染めのストライプを使ったり、などの生地の活かし方もできます。

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布のストライプ柄の色も柄によって違うのも組み合わせの妙

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地の布のストライプ柄を活かしたデザイン(地染め)

染めた糸で織った先染めの生地を柄の部分だけ漂白する。その漂白した部分にもう一度色をのせるなど、ただ単純に色をのせるだけではないのです。

 

注染のゆかたってどこで売ってるの?

「ちょっと興味あるけど、どこで売ってるの?」という方は多いと思います。大量生産のものではないため、オーダーメイドで仕立ててもらうものなんだそうです。呉服屋さんで取り扱っています。
「呉服屋さんってちょっと敷居高くて緊張しちゃう」という方、その気持ちとてもよくわかります。
「オーダーメイドの和服」聞いただけで尻込みしちゃいますよね。

オーダーメイドのゆかたって一体いくらぐらいするの?

反物の状態で売られている生地の価格が大体2万円弱ほどになります。
仕立屋さんにより、価格の上下はありますが、仕立てしてもらうのに、だいたい1万円ほどと見ておけばOK。着物ならば、もう少しお値段がするそうですがゆかたに関しては、自分サイズの一着がおよそ3万円ちょっとでつくれてしまう のだそう。もっと高いものだと思っていたので、驚きました。

 

浜松の染め織り物のイベント!「いとへんのまち」

浜松はゆかたの産地!年代問わず楽しむ夏のおしゃれ

浜松の染め織りものを楽しみたい、知りたいという方にはオススメのイベント、「いとへんのまち」が今年の三月に開催されます( 公式サイト: https://itomati.jimdo.com/ )。今年で4回目になるこのイベントですが、遠州織物や浜松注染など浜松の染め織物が大集結!
毎回人気のゆかたの試着や職人さんによる注染の実演&体験の他、今年は和装の技術を使った御行袋づくりのワークショップやかわいい帯の結び方などが体験できますよ。
会場ではショッピングも!浴衣や生地、手ぬぐい、アクセサリーなどかわいいものがいっぱいです!

この「いとへんのまち」は、イベントの開催メンバーが異色の組み合わせ。
メーカー・職人・問屋・小売・作家・消費者といろんな立場の人が関わっているんですよ。多彩なメンバーが集うので、毎回会議ではそれぞれの立場でみた意見が出てくるのでイベント自体も多面的に染め織りものを楽しむことができますよ。イベントは、「買ってもらおう」ではなくて「知ってもらおう」というスタンス。安心して散策できますよ。

今年はどんなデザイン?どこよりも早く2019年新着デザインをお披露目

浜松はゆかたの産地!年代問わず楽しむ夏のおしゃれ

白井商事さんからは「2019年新柄」をお披露目!
来場者にアンケートをとり、年代別に一番人気の柄を決める投票も行われています。
アンケート結果は、いとへんのまちのwebサイトにて発表されます。去年の投票結果も見ることができますよ。

 

夏のファッションアイテムの一つとしての「ゆかた」

浜松はゆかたの産地!年代問わず楽しむ夏のおしゃれ
白井さん
着る機会が少ないと思うのは思い込み。夏のファッションアイテムの一つとして捉えてもらえたら

ゆかたを着ていくすると、真っ先に思い浮かぶのが「夏祭り」「花火大会」「盆踊り」などのイベントの時。

白井さん
浜松は花火大会が多く、そこに着ていくイメージがどうしても強いんです。
街中でゆかたを着ていると「今日はどこの花火大会ですか」と聞かれたこともありました。
ゆかたは花火大会の制服じゃないし、もっと日常的な装いとしてゆかたを楽しんでもらいたい。

なるほど。そう言われると勝手に先入観を持っていたのかもしれません。京都や浅草では、普通の日にゆかたや着物をきている人を見かけたりしますもんね。
最初は勇気がいるかもしれませんが、ゆかたを日常のおしゃれとして取り入れてみるのも夏を楽しむ方法のひとつなのかもしれませんね。
白井さんも飲みに行ったりなどする時にゆかたを着て行かれるそうですよ。

白井さん
ゆかたの産地である浜松の人にこそ、ゆかたを楽しんでもらいたい!

去年(2018年)は、浜松の街中でも、ゆかたを着て行くとお得な「浜松バルほろ酔い祭り」や「ゆかた・和装展」などが開催されていました。夏をファッションで楽しんでみるのもいいかもしれないですね。


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