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Kicoroの森 (THE HEART OF FOREST)

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

「人が来て好きになる森。」
そんな素敵な森があったら是非いってみたい、そう思いませんか?
今回は、今までにない新しい森、「Kicoroの森 (THE HEART OF FOREST)」を取材してきました。

Kicoroの森 (THE HEART OF FOREST)は、山のことを身近に感じ、森のことを知っている「街と山をつなぐ 顔の見えるきこり」として、私たち街の人に山のことを伝える活動をしている前田さんによって、今まさにかたち創られている最中です。

 

街の人と山をつなぐ

現在の人工林というかたちが100年後に
ここに生きる人たちにも必要とされるのか?
そうではない、それでいて環境保全だけの森ではない、
人が来て森を好きになれるような、
そんな森がつくれないか。

 

ついつい忘れがちになってしまう山の恩恵

kicoroの森があるのは、天竜区石神というところ。
天竜川を渡り、一級河川の阿多古(あたご)川沿いに車を走らせます。

天竜川。やはり上流まで来ると、水がエメラルド色で綺麗ですね。

一級河川の阿多古(あたご)川

「浜松の生活の基盤は天竜の山にある。」山が生み出すのは木材だけではないということを私たち街の人はついつい忘れがちになってしまいます。

前田さん「蛇口をひねれば水が出てくる。当たり前だよね。じゃあ、その水の最初の一滴ってどこからきてるのか」

空から雨が降ってそれが山にしみて木々を通し、川を流れて海に注ぐ。山は綺麗な水を生み出している、いわば自然でできた水のタンク。
浜松に住む人にとって、いや、地球に住む人間にとって森はなくてはならない存在。
でも、森ってどうやって大切にしたらいいのか。
いつも、遠くの方にそびえていて、入る機会のない山々。
街で暮らす私たちにとって、森はまだまだ知らないことがたくさん。
まず、森に行って「素敵」や「好き」を探すことから始めませんか?

 

「人が来て森を好きになる森」

Kicoroの森(THE HEART OF FOREST)に面しているのは観音山という山。
前田さんが所有している森林は半分が人工林で半分が天然林。天然林には、観音山本来の植物が残っているそうです。

今までの林業ですと、需要のない広葉樹ばかりの天然林は人工林に植え替えてしまうことが多かったのですが、Kicoroの森(THE HEART OF FOREST)では全てを人工林に作り変えることはせず、広葉樹は広葉樹で世に出していくような仕組みを模索しています。

私たち一般人からしても、いろんなタイプの森が見られるのは興味深いですね。

前田さん
森に来たら採ってもいいし登ってもいいし、なんなら怪我してもいい

よくよく考えると、私たち一般人が入ることができる森は限られていますよね。
Kicoroの森(THE HEART OF FOREST)では、自由に観察したり、植物を興味のおもむくまま触ってみたりできるんですよ。特に子供達は、初めて見るものがいっぱいの森。能動的に楽しむ体験が自主性を育んでくれます。
森と自由に触れ合うことを大切にしているんですね。

 

山を楽しむ

敷地内にはひらけたスポットがあり、遠くまで見渡せる。

遠くで白く光っているのが海。
東側には天竜川が見える。

写真右端の白い線が天竜川

前田さん
実際にこう見ると、実感がわくでしょ。雨が山を伝って川を流れて海へ注ぐ。
あの白いの海なんだ!なるほど、実際に目にすると仕組みがストンと理解できますね。
前田さん
天竜の山から海が見えるって案外知らない人多いんだよ。
 

素敵なアイテムがたくさん

こちらはリョウブという木でつくったベンチ。リョウブの芽吹いてすぐの若菜は食用にもなるそうで天ぷらなどにして食べたりします。

木のカーブを上手に活かしたベンチ

この個性的な模様はリョウブの生まれ持った模様。
模様の複雑さについつい「この木は元からこんな模様ですか?」と聞いてしまったほど。
リョウブは工芸用の材木としても使われます。
ちなみに、こちらのベンチは家具イベントでの来客のために急ごしらえで作ったそう。

ここのベンチはまさにベストポジション。
ゆっくり腰を据えて、景色を楽しむことができます。

イベントで使用したきこりストーブもありました。「生木でも燃える」きこりストーブ。

きこりストーブの中にあった木炭も燃えた木が炭化してできたもの。美しい漆黒に思わずパシャリ。

 

外で食べるご飯は開放的

外で食べるご飯てなんでこんなに美味しいんでしょうね!
日常を離れ、山や海などに行くと開放的な爽やかな気分になりますよね。
これは医学的にも「転地効果」と呼ばれ、特に自然の中では五感が刺激され身体の器官が整えられ、自律神経にもよい影響を与えるそうですよ。最高です。

 

森の香茶、クロモジ茶をいただく

取材させていただいたのは12月の中旬。
お茶を煮出すのも外で。五徳(ごとく)のかわりに石を3つ配置。

杉の葉は燃えやすく、いい燃料になるんだそうです。

あたたかいお茶がしみる〜

クロモジ の木をお茶にしたクロモジ茶をご馳走になりました!スギやヒノキの伐採の時に邪魔になるので切って捨ててしまっていたクロモジ のいい香りに着目し、このクロモジ茶が誕生したんですよ。
アロマのようないい香りは心を落ち着かせる効果があるんです。街の喧騒を離れて、ホッと安らぐひとときは本当に幸せでした。

 

表情も和らぐ、山の時間の流れ方

今回、山で感じたことは、気持ちの余裕ですね。いつもより気持ちがおおらかになる気がしました。たまには自然の中で過ごすっていうのもいいものですね。

街に比べて、山は全てが雄大に構えているので、その中にいる自分も悠然といられるのではないかと思いました。
普段、街に暮らす人の方が、山から得るものは多いのかもしれません。

 

木に教わる柔軟な生き方

敷地内の古民家の石垣からにょきっと生えている杉。
石垣の中で根を張り、径10mを超えるまでに成長しています。

ここに住んでいた人たちが切らないという判断をしたため、今でもその石垣と生きている杉の木。

前田さん
あくまで推測なんだけど、これって人間が作った石垣っていう構造物を自然の一部である杉の根っこが一緒になって守ってるんじゃないかと思って。 昔の人はそういうのを知っていて、あえて杉の木が石垣の途中に根を張っても切らなかったんじゃないかな。

自然との共存の仕方みたいなものを、昔の人は知っていたんですね。柔軟なその考え方は、現代よりも進んでいるのかも。

「これみてごらん」と案内された先には、二本の木がありました。

隣の杉の枝の間を向けて枝を伸ばすヤマモモの木。

前田さん
ほら、ここ。もたれかかってる。
あ!ほんとだ!楽してるなあ 笑
前田さん
これ人間でいうと背骨がない状態なんだよ。

何かで中に腐りが入ってしまって、中が空っぽになったヤマモモの木。

前田さん
それでも、何とか生きて、光を求めて伸ばした枝を上手に「よいしょ」って隣の木に支えてもらってるんだよ。隣の木もそれを受け入れて一緒に生きてる。

「人が植物に学ぶことってすごくあると思う」と前田さん。我先に光をと枝を伸ばしているようでいて、実はそうではなく、譲り合って植物は生きているのだそう。
枝が絡まりあってお互い死んでしまうようなことはなく、みんな上手に自分の領域をシェアしあっているのですね。

前田さん
このヤマモモの木の中に入ると空が見えるよ。入ってみる?
( 恐る恐るヤマモモの木に入る )
あ…、なんか居心地いいですね。

上から見上げてみた

最初は「ここに?入るの?入れるのか?」と思い、恐る恐る入ったのですが、いざ入ってみると、なんか木に包まれるような心地がしてとても心が落ち着きました。不思議です。

前田さん
ここの木の皮触ってごらん。どういう形状になってる?
形状?丸く中に巻き込まれています。
前田さん
これ、なにしてるかわかる?
…あ!傷口を修復してるのでは?!
前田さん
惜しい!これね、なくなっちゃった骨の代わりに骨を自分でつくってるんだよ。

新聞紙などでも、くるっと丸めて筒状にしたら外から加わる力に強くなりますよね。この木も自分を支える真ん中の部分を失ってしまったので、残ってる部分を内側に巻き込むことで、自分で骨をつくりだして体を支えているそうです。
さらに「根っこって普通は地面の中にあるよね」と前田さん。

前田さん
これ、根っこだよ。

実は木の下の方から支えるように伸びていたこの枝のようなものは根っこ。自分を支えるために、ここまで太く変化し上の方から地中に根を張っています。

前田さん
材料にならない木は、林業でみれば価値のないものだけど、
そんな木から学ぶことや木の姿勢に励まされたり、
人間が植物から得るものは多いと思う。

私も、植物の生きる力の凄さを目の当たりにしたことがあります。
プランターでローズマリーを育てていたときのことなのですが、冬の寒い時期に葉が枯れてしまったんです。大事にしていたので、なんとなく片付けられないままそこに置いておいたのですが、春になり何事もなかったように緑の葉が新たに生えていました。
枯れたと思って特に水やりなどもせずに置いたのに!と当時は驚きましたが、春に備えていたんだなと今になっては思います。
植物の芽吹きや懸命にしなやかに生きる姿は、私たちに喜びや小さな希望を与えてくれるものなんですね。

現在も森は生まれ変わり中!

前田さん
今度、学生たちとヤギの小屋をつくるんです。

現在も絶賛リノベーション中のKicoroの森(THE HEART OF FOREST)。リノベーションが行われているのは敷地内の古民家。築2、300年は経っているという歴史ある建物です。明治時代に構造材を修理したという記録も残っているそうですよ。

その後、ヤギも仲間入りを果たしたそうです。つぶらな瞳がかわいい!

活動の様子は、facebookからも確認できますよ。(facebook:https://www.facebook.com/kicoronomori/)
イベントにも参加されるそうなので、Kicoroの森(THE HEART OF FOREST)に興味のある、前田さんとお話ししてみたい方は是非ブースにも足を運んでみてくださいね!

森を応援すること

現場で働いているわけでもない自分が森を大切にするって一体どうしたらいいんだろうとずっと考えていました。
でも、森を守る方法って、作業員として現場に赴くことだけじゃないんだなと。
ワークショップに参加する、森でのイベントに参加する。森に行って楽しむことで心が少し癒されますよね。
そんな癒しや楽しさに対価を払うことで森に少しでも還元することができるのかなあとそんなことを思いました。


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