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そういえば知らない木のこと。丸太から角材をつくる

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

みなさん、木材がどのように作られているかご存知ですか?
山から運ばれた丸太がどのようにして木材に変身するのか、その工程を見学してきました。

見学させていただいたのは…

永田木材株式会社

永田木材 株式会社

浜松市北区引佐町で原木(天竜杉・天竜桧)の仕入・製材・天然乾燥・プレカット請負・住宅設計施工を行う。ワークショップや木育活動を通じて天竜材や天竜の森林についての認知度を高める活動も行っている。

丸太が木材になるまで

 

1. 原木選別

用途に合わせ、木を選別する

素人目には同じに見える丸太ですが、木目や色艶、強度など丸太の個性に合わせ何に使うかを決めます。

丸太が木材になるまで

左の丸太と右の丸太を見比べて、右の丸太は真ん中の部分の色が黒いのがわかりますか。
この丸太はB材といって柱などの材には使えないためパレットなどの梱包材などとして使われるそうです。

なるほど!
切ったばかりの木は水気が多い?
葉枯らしで軽くて色のいい木に
丸太が木材になるまで

木材として使用するには水分を抜くことが重要になります。そのため、伐採の時期は空気が乾燥している冬ごろに行われます。夏は湿気が多く、木の中にも水分が多いため基本的に伐採は行いません。
さらに丸太の乾燥を促進させるために「葉枯らし」を行うこともあります。
葉枯らしとは、伐採した木の枝や葉を取らずに森の中へそのまま置いておくことを言います。葉には水分を大気に放つ役割があり、大地から切り離された木はいつもどおりに地面から水分を吸収しようとします。
そうやって、水を吸おうとすることで根元から葉へ空気が抜け、無理なく水分が抜けていくのです。

なるほど!
木の外側と内側、若いのはどっち?
丸太が木材になるまで

丸太の外側と内側どっちが新しいのでしょうか。
例えば、人間の皮膚ですと外側の皮膚が新しい皮膚に押し上げられて最後は垢になりますよね。
それと同じで、木も内側から新しい細胞に生まれ変わっていくようなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

正解は外側が若く新しいのだそうです。
樹皮と木部の間で細胞分裂が起き新しい繊維細胞が生まれます。内側の古い細胞はやがて死んでしまいますが、人間のように体外へは排出されず、内に取り込むことによって木はまっすぐ立っていられるのですね。

丸太が木材になるまで

また、外側の新しく若い部分は水分を吸うのが得意です。
内側の部分は水分を吸収するのは苦手ですが、その分腐りにくい養分を出します。
そのため、内側の部分は腐りにくいため水回りに使われたりします。

この養分はもともと細胞内に貯蔵されていた成分が長い月日を経て変化したものなんだそう。
養分に含まれる成分は樹種により違い、それぞれを特徴付けています。

なるほど!
丸太(スギやヒノキなどの針葉樹)の木目には夏と冬がある
丸太が木材になるまで

丸太の年輪をみると木が夏にどのくらい成長して、冬にどのくらい成長したかがわかるのをご存知ですか。
木目には、夏目と冬目というのがあるそうです。
夏は水分と養分をたくさん吸収するため、木の水を通す道管と呼ばれる管が太くなり壁が薄くなるので木目の色は白っぽくなります。それに比べて冬は、木の成長が遅くなる季節のため、夏の逆で水を通す道管は細くなり、そのため木目の色も濃くなるそうです。

 

2. 製材

丸太が木材になるまで

丸太をカットする

丸太には芯があります。そのため、切り取り方も均一なサイズばかりを切り取ることはできません。
丸太一本のなかでどこからどの材を取るか、は昔から職人の腕の見せ所でした。
昔は丸太の側面に木取りという、どう材を切り出すかの設計図を手で書いていました。
現代では、機械の進化や材の使われ方の変化もあり、必ずしも書くとは限りませんが今でも丸太の切り出し方の考えの基礎になっています。

丸太が木材になるまで
丸太が木材になるまで

この機械で大まかに丸太をカットしていきます。
マシンの刃の正面上部にレーザーがついていて刃の位置を正確に把握できるようになっています。
カットする前に、物差しで刃をいれる位置を実際に職人の目で確認してからカットしていきます。

部位に合わせて細かくカット

丸太が木材になるまで

丸太の芯を捉えた柱に使う以外の細かい材は、その大きさに合わせてカットします。一番細くカットされた部分も、土木工事の資材になります。

プロに聞く本当のゴミは出ない!余すとこなく利用できる木材

丸太はそれぞれのパーツに分けられ、切り出した大きさに合わせたカットを施します。
その後にモルダーというカンナがけをする機械に通します。その時にでたおがくずは機械に繋がったパイプを通って集められます。
このおがくずは、おが粉と呼ばれ肥料になったり燃料になります。丸太の皮と皮に近い部分は粉砕しチップと呼ばれる状態にした後、お米の袋、ダンボールの材料になります。
木を加工する際にでるおがくずでも、視点を変えれば重要な資源。木材加工では使い道のないゴミはほとんど出ません。

なるほど!
赤、白、源平?…杉ならではの呼び方が面白い
丸太が木材になるまで

赤身、白身などと聞くと魚のことかなと思ってしまいそうですが、実はスギやヒノキにも「赤身」「白身」が存在します。赤身の強いのが特徴の天竜スギなどは一目でここからここが赤身だなとわかるくらいはっきり目に見えます。

日本人らしくて面白いなあと思ったスギの木材の呼び方も教えてもらいました。

木の外側の白い部分のみが見えるように切り出した「白太材(しらたざい)」

木の内側の赤身だけが見えるように切り出した「赤身材(あかみざい)」
これは、木の内側の腐りにくく水に強い部分のみの材になります。その上、赤身材の節がないものは「赤の節なし」といって高級な材として取り扱いされます。

赤身と白身が両方見えるように切り出されたのが「源平材(げんぺいざい)」
赤と白、源と平と聞いてピンときた方もいらっしゃると思いますが、昔、源氏が白旗、平家が赤旗を掲げて戦ったことに由来しているそうです。

また、赤身材は「芯材」と呼ばれます。それに対し、白太材や源平材は「辺材」と呼ばれます。

なるほど!
木材に秘められた山師(林業作業者)からのメッセージ
丸太が木材になるまで

↑天竜で林業を行う熊平さんの木材

通常のフシは横に広がりますが、写真左のほうは丁寧にカットされたもの。フシの真ん中に印が付いていて、枝打ち(フシの処理)が行われたことが一目でわかるようになっています。適切に処理することでフシの広がりを抑えることができるのですね。

プロに聞く木材にもトレーサビリティを!

日本の多くの伐採者や山主は、山から出た自分の木が市場へ出てからどこで使われているのかわからないケースが多いといいます。「長年、時間をかけて育てた木がどこでどう使われているのか、わからないのは寂しい。」 そんな声を聞くそうです。
永田木材さんでは、生産者と消費者を結ぶ取り組みをしています。
消費者の視点から考えて、トレーサビリティは年々重要視されてきています。食の業界ではこの考え方が浸透してきており、スーパーで野菜を買うときに「〇〇市〇〇町の〇〇さんの栽培した野菜」といったポップをよく見かけるようになりました。木材においてもその考え方は同じです。例えば、自分の家などは大半の時間をそこで過ごすため、家という環境が自分に与えうる影響に無関心ではいられませんよね。どこで誰がつくったのかという情報はその製品の安全性を担保する上で大事な情報になります。
「この木はどこそこの現場で使われた」「この柱はどこそこの木からつくられた」など、情報が双方に伝えられることはお互いにとっても安心感につながるのです。

 

3. 天然乾燥

切り出された木材はそのままだと水分を含み、住宅などに使う木材としてはまだ重いため、乾燥させます。
木材を乾燥させるにはふた通り手段があります「天然乾燥」「人工乾燥」です。
永田木材さんでは「天然乾燥」を行なっています。

丸太が木材になるまで

こちらが天然乾燥させている木材。
このような形で風通しの良い場所に木の水分が抜けるまで置いておきます。
「いくら風通しが良くても、外に置いたら雨が降ってきちゃうし…。水分を抜きたいのに雨に濡れても大丈夫なの?」と疑問に思いますよね。雨に木材を当てるというのは天然乾燥のプロセスとして大切なことで、雨が木のアクを洗い流してくれます。

水分の心配もご無用!伐採された木も外気の湿気に合わせ呼吸をします。呼吸と聞くと不思議に聞こえますが、雨の日は木の中に水分を吸収し、晴れの日には木の中の水分は外気に放出されます。この働きのおかげで木の家の湿度は一定で心地よい空間なのですね。

プロに聞くなぜ天然乾燥にするの?!

「木材に使われる木は樹齢80歳から100歳。長い年月を生きてきたおじいちゃんおばあちゃんをサウナ(乾燥機)に入れるわけにはいかないですよね。」という例え話をよくするのですが、木材にとって急激な乾燥は、色や艶を奪ってしまう原因となります。天然乾燥のよさ、それは「色」「艶」「粘り」だと私たちは考えています。乾燥時間は長く、手間はかかりますが木の良さを最大限に活かしたい、そんな気持ちから永田木材は天然乾燥を選択しています。

部位に合わせて細かくカット

「ここに木を置いて乾燥させます。しばらく置いておくと木が動くんですよ。」と永田木材さん。
木が動く?それってどういうこと?では、「木が動いた」後の木材を見てみてください。

丸太が木材になるまで

切り出したばかりの木材のきれいな四角形の形から少し歪んでいるのがわかりますか。
外に置いて自由に木を呼吸させることによって、木に隙間がうまれ体積が広がるため少し形がいびつになるんです。こうして、木材の時に隙間を空けてあげることによって、より吸収できる湿気の量を増やし、湿度調整の幅を広げることができます。その結果、湿度調節のできる快適な家をつくることが可能になるのですね。

なるほど!
木材に秘められた山師(林業作業者)からのメッセージ
丸太が木材になるまで

天然乾燥の木材を初めてみたのですが、ところどころ木が割れてることに気がつきました。つい、心配になってしまいますが大丈夫。割れが入るのは木の性質上、よくあること。
割れ目がひとつながりで貫通してしまっているような場合を除いては、強度には心配はないそうですよ。
一方、人工乾燥は燃料の力を使い急速に水分を飛ばすため、表面のひび割れこそは少ないですが、急速な乾燥により木材の中で割れ目が生じてしまうケースもあるそうです。「中でのひび割れは目で見えないので不安」、「割れている箇所が目に見えるい天然乾燥の方が安心」という有識者も多いのだそうです。
もちろん、柱などに使いたい材の場合には下準備で「背割り」という処理を施すと割れが生じるのを防ぐことができます。※

丸太が木材になるまで

静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センター 
●わかりやすい森林・林業研究シリーズ 「割れのある柱や梁を木造住宅に使って大丈夫ですか?」

森林・林業・木材産業に関する試験研究、出前講座など技術指導・情報提供及び木材強度試験など委託検定の業務を行う静岡県農林技術研究所森林・林業研究センターという研究所が浜松市浜北区にあるのですが、ここでの実験で天然乾燥の木材の強度が実証されています。
詳しい研究結果などをご覧になりたい方は、下記の静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センターのwebサイトに掲載されているPDFをご覧ください。

参考ページ

わかりやすい森林・林業研究シリーズ  「No.01 割れのある柱や梁を木造住宅に使って大丈夫ですか?」

https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-850/kenkyu01.pdf

わかりやすい森林・林業研究シリーズ  「No.01 割れのある柱や梁を木造住宅に使って大丈夫ですか?」

https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-850/ar483.pdf
 

4. 仕上げ

丸太が木材になるまで

天然乾燥させ形の変化した材は、カンナがけなどで形を整えてから使用されます。

また、切り出したての木に対して乾燥を経た木は黒褐色に変色しますが、全部が変色してしまったわけではなく表面の色が変色しただけで、もう一度カンナがけをしたらきれいな木の表面が見えます。

木材を切り出す際、使用サイズぴったりに切り出すのではなく、ひとまわり大きくサイズを取るのはこの工程を見越してのことなのですね。

 

5. 検査・検品

全ての工程を終えたらお客様の要望を満たしているか検査・検品をします。

丸太が木材になるまで

また、プレカット(施工前に組み合わせ部分などを加工しておくこと)に出す際に、どこに、どの向きで使うのかをわかりやすいように木に記します。
そうすることで、丸太からの切り出し時に狙った通りの木の配置ができるようになります。

製材といっても、材の生産だけではない丁寧なアフターフォローも仕事もうちなのですね。


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