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天竜の森は日本で三本の指に入る

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

お話を伺ったのは…

永田木材株式会社

永田木材 株式会社

浜松市北区引佐町で原木(天竜杉・天竜桧)の仕入・製材・天然乾燥・プレカット請負・住宅設計施工を行う。ワークショップや木育活動を通じて天竜材や天竜の森林についての認知度を高める活動も行っている。

 

日本三大人工美林

天竜の森林は日本三大人工美林のひとつとされています。森林という自然なものに対して、「人工」とつけるとなんだか不思議な感じがしますよね。
人工林は人の手で作られた森林。いわば、育成林と言い換えることができます。
森林を管理する、育てるのは一筋縄ではいきません。古くからの林業の伝統、人と森の営みの歴史やノウハウを生かして管理された森林 なんです。
人の手が入らない天然林も美しいですが、人の愛情をうけてすくすく育った人工林もまた美しいもの です。
自然のものらしい有機的にうねった造形が美しい天然の森林に対し、ピシッと美しく幹のまっすぐ揃った森林もまた凛として美しいと感じました。

 

適正に森林を管理するということ

森林を管理するとはどういうことをするのでしょうか?
木を植えたり、枝を切ったり…というようなお世話をする、育てることにつながるような行動をみなさん思い浮かべると思います。
そのような管理も森林を管理することの一部ですが、木を切ることも森林を保つのに必要なことなのだそうです。木を切ること=管理することの認識が私にはなかったのでとても驚きました。

木を切る=森林破壊ではない

「木を切る=森林破壊」というイメージをもっている方も多いと思います。違法な伐採は森林破壊の大きな原因ですが、適切な伐採は森林の健康を守るためには重要なんだそうです。

皆さんの森のイメージはどんな森ですか。私は木々の隙間からキラキラと日が差していて綺麗な緑の苔や小さなお花をつけた植物やシダなんかが茂っている、そんな森を想像します。 今回の取材で見せていただいた資料の中に衝撃的なものがありました。

間伐の行われていない森

その写真は森林の写真だったのですが、最初見たときは「あれ?夜の森かなあ」と思いました。
全体的に暗く、木々は青白く不気味でした。さらに木立のみで草が一本も生えていない!見慣れないその森の姿に少し違和感を感じたのですが、なんとその森は適切な伐採が行われていない森林なのでした。

さらにもう一枚、その森の木が生えている地表を撮った写真を見せてもらったのですが、一面に木の根がびっしりと浮くように生えていて足の踏み場もないくらいの地面。昼でも日が差さないため、木の周りの草が枯れてしまい地面がむき出しになり雨とともに表面の土が流れていってしまいこのような状態になってしまったようです。

植物を育てるときにも間引き(まびき)といって、芽が出始めたら密植した芽と芽の間を空けるために芽を抜きますよね。
あれと同じで木も密集して生えていると混みすぎて日光や土の栄養がうまく行き届かなくなってしまうそう。
この間引きと同じ意味を持つ伐採を間伐と言うそうです。

間伐による効果

間伐をすることで太陽光が適度に森林に指すようになり、樹木だけでなく下草も育みます。下草が育まれることにより土壌が豊かになります。さらに間伐により、土の中も木々の隙間も適切なスペースを保つことができるようになります。木々は深く根をはるようになり、森林に降り注ぐ雨の量も増え、ゆっくりと地面にながれて土壌に吸い込まれていきます。

雨がゆっくりと土壌に流れ込むということは洪水が起こりにくくなることにも繋がります。そして、その水はやがて土のフィルターにかけられ浄化されるだけでなく、土の栄養を含み川に流れ込みます。川に流れ込んだ栄養は川の生物を育みます。浄化された水は川の水をきれいにし、そして、その川が流れ込む海をもきれいにすることができるそうです。

「森林を適正に間伐し、健康を保つこと」がその地域の環境さえも良い方向に変えていくのですね。

 

FSC®︎認証林

FSC®️とは?

木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関です。

国際的な森林認証制度を行なう第三者機関のひとつで、
1. 森林環境を適切に保全し、
2. 地域の社会的な利益にかない、
3. 経済的にも継続可能な
森林管理を推進することを目的としています。

(WWFジャパン webサイトより引用)

FSC®︎森林認証とは?

FSCの森林認証制度は、森林の管理や伐採が、環境や地域社会に配慮して行なわれているかどうかを、信頼できるシステムで評価し、それが行なわれている森林を認証します。そして、その森林から生産されたた木材や木材製品(紙製品を含む)に、独自のロゴマークを付け、市場に流通させています

(WWFジャパン webサイトより引用)

つまり、この認証をつけている製品を購入することで、森林保全の取り組みをしている企業、そして、その活動を間接的ながら支援できるということです。
ちなみに浜松市の森林のFSC認証面積は日本一!
地元民からみても誇らしいです。

 

CoC認証

CoC認証とは?

木材は、最終消費者の手に届くまで、多くの加工・流通業者の手を経ますが、この加工・流通過程を管理の連鎖(Chain of Custody, CoC)と言います。加工・流通過程でFSC認証材が他の不適格な木材(例:違法木材など)と混ざってしまっては意味がありません。

CoC認証の対象となるのはFSC認証製品の所有権をもつすべての組織であり、これには伐採業者、加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者、小売業者*などが含まれます。

CoC認証を受けていない業者の手を経たものは、加工・流通過程で本当にきちんと管理されているか確認されておらず、トレーサビリティが確保されていないので、認証製品と呼ぶことはできないのです。

*注:一般の最終消費者にFSC認証製品を販売しているだけの小売業者には認証取得は必要ありません。ただし、建設業者などに認証製品を卸し、その建設業者がFSC認証製品を建築における環境認証のクレジットとして活用するような場合は認証が必要です。

(FSCジャパン webサイトより引用)

つまり、この認証をつけた製品は全ての過程においてFSC認証製品の所有権を持つ企業のみが関わっているということ。かなり安心です。

永田木材さんの取り組みをご紹介

CoC認証取得

当社は、製造・加工・流通・建築・住宅販売におけるCoC認証を取得しております。
森林は、私たちに澄んだ空気やきれいな水など、さまざまな暮らしの恵みを与えてくれますが、近年、地球上では違法な森林伐採により、森林破壊が進んでいます。
将来にわたって、持続可能な森林を保つためには、適正な管理・伐採・植林を行わなければなりません。
そのために、しっかりとした基準を満たすことは企業の果たす役割として重要なことだと考えています。

永田木材ロゴ
 

「木を切る」→「使う」→「植林する」 

森の健康を保つことが大事なのはわかりました。
今度は資源という面で森林のことを考えていきたいと思います。

森林を健全に保つためには間伐の必要がある。そのことはわかりました。
しかし、間伐にかかるお金がどのくらいいるのか皆さんはご存知ですか。

1ヘクタール(100mx100m)あたり8〜25万円かかるそうです。(山の状態により値段が変動するそうです)
目安として例をあげると、浜松城公園がおよそ10ヘクタールあります。浜松城公園くらいの土地を間伐しようとすると80万円〜250万円かかることになります。

森林の維持費は収益でまかないきれず補助金を使うことがほとんどだそうです。
もちろん、最初からこのようなアンバランスな事態になっていたわけではありません。
安価な海外産の木材に需要が流れてしまい、国内産の木材はそれを受け適正価格が崩壊。品質の良い日本の木材の値段は高騰しました。
こういった海外産の輸入物で国内の産業が衰退する例はたくさんありますが、木材もそういった変化により産業の構造が壊れてしまったのだといいます。

しかし、だからといってもう日本の森はいらないや、とは絶対になりませんよね。
環境の面でもなくてはならない存在だからです。では、その森を存続させていくためにはどうすれば良いのか。

木を使うこと

「木を使うこと」簡単そうに聞こえます。
しかし、一旦適正価格が壊れて、安価な価格が浸透してしまうと元の値段に戻すことはなかなか難しいのが正直なところ。海外産の木材に比べ国内の木材は、品質が高いのがわかっていてもどうしても高く思えてしまう人は多いのではないかと思います。
では、高くなった木の値段をどうしたら適正な価格までもっていけるのか。それは、供給量を増やすことで解消されます
しかし、需要のない、売れないものを卸供給し続けるわけにはいかないですよね。需要を高めるにはどうするか

そうです。私たち消費者が「国産の木を使う」ことなんです。

私たちが今使っている木は昔の人が植えた木

木が製品として使えるようになるまでどのくらいの月日が必要になるかご存知ですか。
だいたい、製材品として使える太さに育つまで45年以上の年月がかかるそうです。
約45年といったら人間の寿命約80年として、おおよそ半分。それだけの長い年月が木の成長には必要なんです。

私たちが今、木材として使っている木は先人たちが植えて育ててくれた木を使っているんですね。
今は先人たちの植えてくれた木がありますが、これから先はどうなるのでしょう。

自分たちの世代が木を植えて、育てていかないと与えられた資源をただ消費していき、100年後の将来まで備蓄が持たないこともあり得る話なんです。

森林循環型サイクル

永田木材さんでは「植える→育てる→使う→植える」という森林資源の循環利用を「森林循環型サイクル」と呼んでいます。

間伐だけをして上手いこと維持させていけばいいのではないか。そう考えるひともいるかもしれませんが、やはり木も生き物。資源として使っていくことを考えると、伐採適齢期というものがあるのです。伐採適齢期はだいたい45〜80年。
資源の取れる森林を維持するには、やはりこのサイクルを回していくことが重要になってくるのです。

上手くいかない「植林」

そして今、森林循環型サイクルのなかで止まってしまっているのが「植林」なのだそうです。

では、植林を活性化して、どんどん植えよう!というわけにもいかないのが現状。
土地の問題や鹿などの害獣の問題。
植えるにも育てるにも問題は様々で、どの問題を解決するのにもお金がかかりすぎる
例えば、鹿などの害獣が柔らかい新芽を食べてしまったりするため、鹿を防ぐネットを立てようにもお金がかかります。
また、植林には皆伐(森林の対象となる区画にある樹木を全て伐採すること)をしなくてはいけません。区画一帯の木を全て切るわけですから間伐よりもお金がかかります。

そんな現状を受け、北海道では新たに皆伐への補助金を出し植林を進める動きも出てきました。

静岡県でも低コスト主伐(材木の更新を目的とした伐採)・再造林の仕組みを構築すべく浜松を含めた7つの地域でモデル林の実証実験が行われているそうですが(2018年10月時点)、まだ一般に浸透してはいないため、やりたくてもできないと言うのが本音なんだそう。

なかなか維持管理だけで新たに育てていくことができていないのが現状で自己負担をしようにもそのお金は莫大。
とても、自己負担できる額ではないそうです。

私たちにできること

直接、植林をしたり森林を管理する森林作業員になることも一つの手ですが、消費者の私たちにもできることはあります
消費者の私たちが一番身近な「購入」でできることをこつこつ積み上げていくことが私たちにもできることなんじゃないかなと思います。
例えば、FSC認証を持つところ、CoC認証を持つ製品を購入する。そういう選択をする人が増えれば、FSC認証を取ろうとする企業が増え、結果的に森林を守ることにも繋がります

また、できるだけ国内産の木材の製品にこだわってみるなど、ちいさなことだけどひとりひとりができる限り意識的に購入活動での選ぶ基準を変えていくことで未来は変わるのだと思います。

永田木材さんの取り組みをご紹介

「地域循環型家づくり」への取り組み

弊社は森林循環サイクルにおいて「製材加工」の分野を担っています。伐採された木が私たちのところに入り、皆さんに買っていただき、使っていただく。
そして、そのお金が山に戻り、管理や植林の資金に回っていく、そのようなシステムを作っていくことが大切だと私たちは考えています。
この循環を地域の中である程度完結できるようにしていきたい、というのが弊社の目指すところです。
このシステムを構築する活動を「地域循環型家づくり」と呼んで、弊社の企業活動の一環として取り組んでいます。

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