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「遠州織物」って何?

浜松ものづくりプロジェクト運営事務局

 

遠州織物とは?

遠州織物のことに触れる前に、そもそも「織物」とはどんなもののことを指すのか、少し触れたいと思います。

「織る(おる)」とは、糸を布の状態にすること。そして、似たような動作の「編む(あむ)」などと区別できる大きな特徴として、
織物には「タテ糸」と「ヨコ糸」があります。その「タテ糸」と「ヨコ糸」を組み合わせることで、糸を一枚の布にすること。このことを「織る」と言います。

そして、「遠州織物」とはその名の通り、浜松市を中心とした静岡県西部地方(遠州地方)で織られている織物のことを遠州織物と呼びます。

遠州織物の品種は多く、何千何百の品種があります。その分類方法も多岐にわたり、代表的なものに

  • 繊維の種類(綿、麻、レーヨン、シルク、化学繊維など)
  • 織物組織(タテ糸、ヨコ糸の組み方)
  • 幅による分類(広幅、小幅、細幅)
  • 糸による分類(糸の撚り方や糸を染める段階の違いなど)
  • 染色加工の種類(染色の加工の仕方など)

による分類の仕方があります。

遠州織物を大きなくくりで分けると広幅、小幅、細幅・ひもの3つに分けられます。
広幅は主に洋服地、小幅は着物生地や浴衣生地、細幅はテープや包帯、シートベルトなどに利用されます。

広幅、小幅はいわゆる「アパレル」、細幅・ひもは「資材」に使われることが多いそうです。
遠州織物の「広幅」と「小幅」がつくられる全体の割合を100%とすると、「広幅」は80%、「小幅」は20%の割合でつくられているそうです。

私たちにも比較的わかりやすい繊維の種類でみても、綿、麻、ウール、シルク、化学繊維など細かい分類がたくさんあるのがわかります。

数ある品種の中でも、広幅の場合はローン(シャツなどに使われる薄い平織りの生地)ブロード(タテ糸、ヨコ糸が同じ太さの密度の高い平織りの生地)が有名で、小幅の場合は紬や縞柄、絽、紅梅などが代表的なものとしてあげられます。
これら代表的な品種や柄の起源は古く、江戸時代から作られてきた伝統的なものなのだそうです。
では、どのようにして遠州地方に織物が根付いていったのかを追っていきましょう。

 

遠州と織物の歴史

江戸時代、遠州地方は温暖な気候のため日本でも有数の綿花の産地でした。
遠江浜松藩初代藩主の井上正春が綿花を栽培する農家の副業として織物を推奨したこともあり、遠州地方での織物はますます盛んになり愛知県の三河、大阪の泉州と並び三大綿織物産地として知られるようになりました。

明治初期から後期にかけて、織物工場の組織化が進み木綿商人の販路も関東から東北まで拡大します。そのなかで「遠州織物」の名は全国で知られるようになりました。

やがて、豊田佐吉による日本発の動力織機や洋式の紡績工場設立などますます繊維業の一大都市として織物業は盛んになっていきました。

その後も、ベッチンやコールテンなどの製造・輸出やブロード、ローンなどの新商品が高い評価を受け、発展を続けてきました。戦争による不況を乗り越え、時代の変化に合わせながら発展を遂げていきました。

現在では、浜松藩初代藩主の井上正春が織物を推奨してから約170年と、江戸時代からつづいてきた織物業は歴史も古く、その歴史の中で取り扱ってきた品種も多様です。
現に遠州地方の織物の技術は非常に高く、なんでも織ることができます。
また、素材として高品質なものが多く、国内外を問わず多く利用されています。
海外でも、ハイブランドの洋服生地にも選ばれたりしており、遠州織物はトップクラスの評価を受けています。

 

織物ができるまで

そもそも「織る」ってどういうこと?

「織る」とはタテ糸とヨコ糸を組み合わせて糸を一枚の布にすること。
タテ糸とヨコ糸をどうくぐらせるかで織り方は変わり、その手法は様々です。

もっとも代表的な「平織り」はタテ糸とヨコ糸が一本ずつ交互に交差している織り方です。

では、実際にどのような工程を経て織物ができあがっていくのか、簡単に糸から織物になるまでの工程をご紹介します。

糸から布になるまで

  • step1【原糸(げんし)】原材料から原糸を作る

    綿や麻などの糸になる材料はゴミなど取り除き細かくし繊維の状態に処理され、原糸という状態に加工されます。

  • step2【撚糸(ねんし)】糸に撚り(より)をかける

    撚糸の状態がいわゆる一般の「糸」という時に指す状態のもので、これは原糸を何本か組み合わせて撚ることで、糸の強さと光沢の強弱を生み出します。 こうして、撚糸になった糸は、次の工程(整経)を同じ撚糸工場で行う場合はそのまま、織布工場で行う場合は染色などの加工の後に芯に巻きとり工業用の糸として出荷されます。

  • step3タテ糸工程【整経(せいけい)】タテ糸を並べる

    糸を織物設計に基づき、タテ糸として必要な本数・長さ・密度・幅および色糸の配列順序などに従い、並べて整えます。サイジング用ビームとよばれるロールに糸を並べた状態で巻きつけます(あらまき)

  • step4タテ糸工程【サイジング】糊付け

    マシンで高速で織られる時に糸が切れたり、毛羽立ったりしないようにノリで糸をコーティングします。糊付けされた糸はサイジング用のビームから織機用のビームに巻きとります。

  • step5タテ糸工程【へ通し】糸を穴に通す

    整経でならべた糸を一本一本順に「おさ」とよばれる織機の部品に空いている穴に通していきます。一本の糸を一つの穴へ通すためとてつもなく細かい作業になります。

  • step5【機織り】織物を織る

    へ通しをした「おさ」を引き上げ、タテ糸を織機にセットし織り上げる

上記の工程にあげていない細かい工程もありますが、その工程は何をつくるか、どこでつくるかによって順序や手法に違いがあり一通りに定まったものではないそうです。

織機の種類

織機の世界は原始時代からの歴史があり考古学的にも大変面白いものなのだそうです。
ここでは、織機の種類を少しだけご紹介します。

かつて、機械などがない時代は手織りで機織りをしていました。よこ糸を通すための道具をシャトルといい、日本では「杼(ひ)」と呼ばれていました。
それこそ原始の時代には一本の棒に糸を巻いていたような簡易的な道具でした。

時代が進むにつれ、織機の機械化や技術の発展により、よこ糸を通す手段にもバリエーションが出てきました。
手織り機の次に発明されたのは力織機や自動織機などの「シャトル織機」です。
英語の「shuttle」には、タテ糸の間を行ったり来たりするシャトルの様から派生し「往復させる」「運ぶ」などの意味があります。シャトルバスやシャトル便、スペースシャトルの「シャトル」もこの機織のシャトルからきています。

シャトル織機の次に発明されたのは、「シャトル」を使わずにヨコ糸を渡す「シャトルレス」と呼ばれる織機達です。

発明された順から「レピア織機」、レピア(剣)という装置を使い、中央でヨコ糸の受け渡しをする「レピア織り機」のレピアは部品の名前です。このレピアを英語で書くと「rapier」と書き、これは英語で「細身で先端の鋭く尖った刺突用の片手剣」の意味を持つレイピアと同じ綴りです。
後には、水圧の力を使ってヨコ糸を飛ばす「ウォーター織機」、空気の力を使う「エア織機」なども開発されました。
シャトルレス織機は高速でよこ糸を渡すため織りのスピードも早く、出来上がる織物も薄く均一な仕上がりなのが特徴です。

浜松の織布工場ではシャトル織機を使っているところが多くあります。
シャトル織り機は機械ごとに織りの加減を調整をする必要があります。その調整には職人の技術が必要です。遠州地方にある織布工場には熟練した職人が数多くおり、その技術を生かし今日も丁寧で質の高いものを生み出しています。
シャトル織機はシャトルレスの織機に比べ、機械としては古いものでスピードもシャトルレスに比べて遅くはありますが、織りなす生地にはシャトルレスにはない独特の凹凸があり、それが素材の味となり多くの人に愛されています。

今回、記事を書くにあたって遠州織物について自分なりに調べましたがわからないことも多く、遠州織物工業協同組合事務局長の松尾様に取材させていただき、ご協力いただいております。


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